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フエの市場。 この写真の市場は、かなり整然としていて、観光客も多い。 一方、街外れの古い市場では、あまりの熱気と混雑で、カメラを取り出すことすらできなかった。 肉や魚、それに発酵したものの強烈な匂い。無造作に積み上げられた果物、野菜、褐色に濁った瓶詰めの数々。 地べたにまな板をおいて、魚をさばく女性たち。バケツにひじまで突っ込んで内臓と混ぜ合わせる。バケツ一杯に、塩辛状のものがタップン、タップンと揺れる。あちこちに水溜りができ、落ちた魚がはねる。 水がぽたぽた滴る籠一杯の小魚を抱えた少女が、周囲の大人を押しのけるようにして、奥の人ごみに分け入っていく。 テントの下で、巨大な切り株をまな板代わりにして肉をたたき切る男。時折、虫を追い払う。追い払いながら、こちらをチラッと一瞥する。 人ごみの奥の薄暗がりで、木の台に寝そべる女性。その女性の手に顔を近づけて、もう一人のあぐらの女性が、マニュキアを塗っている。二人は、こちらを見上げると、無表情のまま、私達が行過ぎるまでじっと手を止めた。 結局、その市場の写真は一枚もない。 |
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